第1章 感染症 『2』ウイルス感染症
麻疹:麻疹ウイルスによる熱性発疹性疾患。5類感染症。
「疫学」
主に3歳以下の乳幼児期に発病。年間数万人発病、数十例が死亡している。
「成因・病態生理」
飛沫感染により、上気道粘膜に侵入・増殖し、所属リンパ節→全身諸臓器に至り二次的増殖が起きて発症。
「症状」
潜伏期:10~12日
カタル期:発熱、咳、鼻汁、結膜炎で発症。発症後2~3日目に口腔頬粘膜にコプリック斑出現。
発疹期:発症後3~4日にいったん解熱し、その後再び高熱が出て、耳後部・頸部から全身に斑状の丘疹性発疹が出現。
回復期:2~3日高熱が続いた後、急速に解熱、発疹消退する。
「診断」
臨床症状より診断。血清学的検査:血清抗体価上昇
「治療」
特異的治療無し。安静、栄養・水分補給、発熱に解熱剤使用。弱毒性ワクチン接種で免疫が成立(生後12~90ヶ月の間)
「経過・予後」
予後良好。約10%に肺炎・中耳炎・下痢・脳炎などの合併症を起こす。